債権(売掛金)を回収したい【2】これで決まり、覚書ノウハウ
こんにちは 司法書士の山下です。
以前、債権回収のお手伝いをした際にアドバイスしたドキュメントがあったので公開します。
状況は会社が会社に対して債権回収をしたいけれども、相手の会社にはあまり財産がなさそうなので保証を取る覚書を書かせたい、場合の流れです。
覚書作成のアドバイスの前に現在の状況の整理から
1.現状
債権の存在について当事者間で争いは無いが、相手方(会社)の支払意思があやしい。
会社の財産はどの程度あるかわからないが大きくは期待できない。
2.向うべき方向
債権について争いは無いので、法的手段(裁判その他)を取れば勝てる。
しかし、「無一文」からは取れないので取れる先を増やす=担保を取る事が有効
この担保が相手(個人)もしくは関係者、親族に保証をさせる事です。
3.誰に保証させるか
相手方は当然ですが、可能なら借金が及べば迷惑がかかる嫁、両親、関係者などを巻き込んで保証を求めます。
どうしても無理ならせめてお前が保証しろ、、
というようにハードルをかなり高い位置まで上げてから妥協してみます。
とにかくハードルを上げておいて、下ろして決着のストーリーを考えてください。
4.どんな場がいいか
相手にプレッシャーをかけるためにも御社に呼びつけるのがベターでしょう。
周りに人数がいるだけでも相当なプレッシャーになります。
一度以前に覚書を交わしたのは偉い方のプレッシャーもあってと聞いたので、次は「その人の顔をつぶす」等の倫理的な話も効くかもしれません。
5.何を書くか
法律家が書いた文章と悟られては警戒され、財産隠しが始まるかもしれないのでご自身の文章で書いてください。
以下に書いて欲しい内容を挙げます。
【1】 文章のタイトル
タイトルは「保証契約書」では仰々しいので「覚書」等何でもよいです。法的にも問題ありません。
【2】 当事者の表示と内容
誰が誰の債務を「連帯して保証」するかを書きます
会社の場合は「会社所在地」「会社名」
個人は「住所」「氏名」です
文章の中には個人の住所が無く、名前だけ○○○○とあるだけでも、サインするところに住所を書いておけば個人は特定できます。
今回は「○○会社の○○会社に対する債務を○○が連帯して保証する旨」の記載をめざします。
【3】 作成日付
いつ作成したかを明記します。
【4】 署名押印
署名は自筆でもらうべきです。印鑑証明+実印があれば尚ベターです。
【5】 保証する旨
保証は連帯保証が強力です。この「連帯」に価値があります。
さりげなく「連帯して保証します」とあればOKです。
【番外編】
連帯保証は保証した者が、債務者とほぼ同じ立場になる強力なものです。
元の債権に争いが無い場合これを覆すのに出来る事は、覚書の成立を否定することくらいでしょう。
つまり、「覚書は相手に脅迫されて書いた」 や 「白紙の紙に名前と印鑑を押しただけなのに後で書き加えられた」といった反論がありえます。
そうならないためには、ボイスレコーダーや押印した覚書と一緒に債務者が写った写真などが有効です。
なかなか全てうまくは行かないでしょうが参考にしてみてください。