債権(売掛金)を回収したい【3】小額訴訟を利用してみる

こんにちは 神戸会社設立アシスト運営している司法書士の山下です。

会社の債権回収シリーズ 今回は小額訴訟についてです。

取引先が資金繰りが苦しいからと言って売掛金を支払ってくれない。

覚えのないクレームをつけられて支払ってもらえない。

直ぐに支払いますといってたのに未だに支払がない。

会社経営をしていくとありがちな債権回収のトラブルでは、たとえ小額でも多くの不良債権が増えてしまうと会社に打撃になってしまいます。

そんな時、「裁判」で、しかも「簡単」に債権を回収できる「可能性」のある方法が「小額訴訟」です。

 

小額訴訟」は60万円以下の金銭の取戻しに利用できる、原則1日で結審する裁判手続きです。

目次
1.小額訴訟の特徴
2.全てに当てはまっていたら小額訴訟を検討しましょう
3.小額訴訟の注意点(デメリットも)
4.最後に

1.小額訴訟の特徴

【1】素人でも大丈夫!簡単な手続き
裁判というと弁護士を雇って、何度も裁判所に足を運んでといった複雑な手続きを想像しますよね。
しかし、小額訴訟では裁判所に備え付けてある用紙にチェックや簡単な記入をしていくだけで訴状が出来上がるようになっているため、専門知識のない一般の方でも簡単に裁判を起こす事ができます。
訴訟手続きも、裁判所書記官や裁判官がアドバイスしてくれるので、それに従って準備していけば大丈夫です。

【2】早期解決が可能
裁判をすると長い期間がかかるため面倒で時間が取られてしまう、というイメージですが「小額訴訟」は違います。
訴えの提起からおよそ2ヶ月程度で全てが終了します。
これは、通常の裁判が複数回の審理を行なうのに対して、小額訴訟では原則として1回の審理で全ての証拠調べ、口頭弁論が行なわれるからです。
そのため何度も裁判所に足を運ぶ必要がなく、通常の裁判に比べて大幅に早期解決が可能になっています。

【3】費用が安い
裁判の費用は、裁判所に収める費用と弁護士や司法書士に依頼した場合の報酬が必要となりますが、これに関しても安くなります。
先ず、裁判所に納める費用ですがおおよそ請求額の1%(50万の場合5000円)と郵便切手(これは裁判所に事前に確認が必要)程度です。
弁護士、司法書士費用は依頼する事務所にもよりますが、裁判所の審理が1回の期日で終わるために通常の裁判報酬よりも安価になります。

2.全てに当てはまっていたら小額訴訟を検討しましょう

【1】請求が60万以下の金銭の支払い
小額訴訟は60万以下の金銭の支払を目的とする場合に使える手段です。そのため60万を超える請求や不動産の明渡等の請求には使えません。

【2】単純な事件
小額訴訟は一回の審理で裁判が終結するため複雑な事件には向いていません(通常訴訟で争うべき)。申し立てる事件は関係者が少なく争点も少ない単純な事件が向いています。

【3】証拠が揃っている
上記の単純な事件にも関係しますが、小額訴訟では一回の審理で終結するために証拠は「すぐに調べられるもの」に限ります。
そのため必要な証拠が揃っている(口頭弁論期日までに揃えられる)必要があります。

3.小額訴訟の注意点(デメリットも)

【1】控訴が出来ない
上記の「証拠が揃っている」の裏返しでもあるのですが、証拠が不十分であったりして敗訴した場合でも、控訴が出来ません。但し判決をした裁判所に異議の申立ては可能です。

【2】相手が希望すれば通常訴訟になる
小額訴訟は簡易な手続きで行なえるメリットがある反面、相手方が通常訴訟を望めば通常訴訟に移行してしまいます。通常訴訟は普通の訴訟なので複数回の期日があり、終結までに時間がかかる場合があります。

【3】利用回数に制限がある
小額訴訟の利用は、一人につき年10回までと定められています。

4.最後に

小額訴訟は一般人が裁判手続きを使いやすいように、裁判所がいろいろなサポートを用意してくれています。
60万以下の金銭の請求をしたい場合には、検討する価値があります。

簡裁代理権をもつ司法書士は、簡易裁判所では弁護士と同じく訴訟代理人として活動出来る専門家です。
簡裁代理権をもつ司法書士をぜひご活用ください。

兵庫県司法書士会 会員検索