知っておくべき知識 役員報酬のいろは

こんにちは神戸、大阪の会社設立の専門家 神戸会社設立アシスト運営の司法書士山下です。

会社を設立後はじめのうちは社長自身の給料を十分に取る事が難しい時期もあるかも知れません。

そのような苦しい時期を乗り越え事業が軌道に乗ってきたら役員報酬をどう増やそうかと検討されるでしょう。

今回は役員報酬について紹介します。

目次
1.役員報酬とは
2.役員報酬の支給方法
3.役員報酬を増やしたい、減らしたい
4.役員の賞与
5.役員の報酬のまとめ

1.役員報酬とは

株式会社は株主が会社に出資して、役員は株主から経営の委任を受けて職務を遂行する、という仕組みになっています。

そのため役員報酬は労働の対価ではなく職務遂行の対価となっています。

設立したばかりの会社や小規模な会社では、株主も役員も同じといった場合が多いですが役員の報酬を決める場合には、株主と役員の立場を分けて考える必要があります。

具体的には役員報酬の支給は株主総会の決議を経て行う必要がありますし、報酬の額も社長が個人判断で決めれるものではなく定款か株主総会で決定します。

社長の報酬の実際

社長の報酬は高いと一般的におもわれていますが実際はどうでしょうか?
社長の報酬は会社の規模や責任の重さ、業務の重要さによって判断し決定されますが、一般的な目安として小規模会社の場合は社員の給料の3倍程度から4倍程度といわれています。

小規模会社の場合、会社の借入には社長個人が個人保証を求められることも多く、また社長自身様々な業務を何役も兼ねている事もおおいでしょうからそれなりの報酬を確保したいものです。

もっとも会社の支払能力については注意が必要です。会社の利益がない時期に役員報酬がかかり過ぎると会社は赤字になってしまいます。
会社の設立後しばらくは、キャッシュフローを検討し社長の報酬1年分が払えるかをまずは考えていきましょう。

2.役員報酬の支給方法

役員報酬の支給の注意点は「経費」となるかどうかです。この点【1】で紹介する定額方式は中小企業では法人税法上経費に出来ますが【2】【3】の方式では経費にならないため注意が必要です。
このため多くの会社が【1】定額方式を取っています。

【1】定額方式
役員報酬を「1ヶ月あたり60万円」というように毎月一定の額を支給する形態です。法人税法上「経費」に出来るため多くの会社が採用しています。

【2】定額+業績連動方式
定額部分に加えて業績に連動して報酬を支給する形態です。
定額部分+営業利益*○%といったように連動部分を支給します。

【3】全額業績連動方式
報酬の全額が会社の業績に連動する形態です。
売上*○%高+営業利益*○%といったように全て業績に連動させて報酬を支給します。

3.役員報酬を増やしたい、減らしたい

役員報酬を増やしたり減らしたりする場合、社長が単独で変更する事は出来ません。
変更には「定款」で決定するか「株主総会」で決定するかが必要ですが一般的には「定時株主総会」にて変更することが一般的です。

小規模な会社では定時株主総会で年に1度報酬額の見直しをおこなっていくことになります。

注意が必要な点として役員報酬の額を正規の手続きを踏まずに勝手に「増額」してしまうと会社法違反となります。

これは株主から委任を受けている取締役がその任務に反して個人の利益を優先させたことになるからです。

また税法上でも勝手に増額した報酬は経費と認められないので注意してください。

4.役員の賞与

先に報酬の支給方法で業績連動の場合を紹介しましたが賞与を「経費」となる形で支給する方法は用意されています。

報酬と同じく予め支給時期と支給額を株主総会で決議し、且つ決議日から1ヶ月以内に税務署に届出をするなど一定の要件をみたすことで法人税法上「経費」とすることが出来ます。

法人税法上の経費とならない場合、役員賞与分の利益が減っていても税金は減らないことになり、個人の所得と会社の税金で2重に課税されてしまう事になりますので注意してください。

5.まとめ

役員報酬については「経費」となるかならないかは、会社の経営にとって非常に重要です。
税務署から「この会社は税金のがれをしている」と見られるようなことがないように、会社の運営には注意をはらい「議事録」等の書類はきちんと保管する必要があります。

詳しい税金面の相談は税理士の紹介をおこなっていますので気軽にご相談ください。